【技術書典6】誰かに背中を押された話【執筆に向けて】
これは 技術同人誌 その2 Advent Calendar 2018 Advent Calendar 2018 の12月8日のエントリーです。
技術書典、参加するだけでも最高に楽しくて刺激的で、持ち帰るものも膨大なら、成長も膨大。
個人的に 技術書典は成長の種を得るところ って思っています。
で、参加するうちに 書いてみたい と思うようになったんですよね。ポエムでもいいし、僕が活動理念にしている 初学者に寄り添い、背中を押す ことができる場所だなって、いろんな人の書籍を読むたびに思ってたんです。
そんな折、僕が主催に属している エンジニアの登壇を応援する会 の Slack で共同執筆の話が持ち上がりました。 これはやるしかない!と思い、編集長の ariaki さんと話しながら、ざっくりまとめた内容を綴ってみたいと思います。
というわけで、3つのテーマのうちの最初 誰かに背中を押された話 をします。
はじめに
人は誰もが背中を押されて生きている と言えるかもしれません。 しかし押されるタイミングが合わなければ、羽ばたけない人もいる。 僕もそんな1人でした。
エンジニアとして、何をするにもとっかかりが掴めない。 ずっと暗がりでもがいている。 諦めた方がいいんだろうか…
そんな漠然とした悩みを打ち明けた人がいました。
そこで本章は、僕が人生で初めて ガッツリ背中を押されるまで を解説していきます。
背中を押されるまで
不惑をとうに越え、人生そのものに焦りを迎えていたある日、同僚の何気ない言葉 から僕の背中は押され続けてきました。
きっかけ
43歳になっていました。何もかもが焦ります。 これだけは誰にも負けないと自信を持てるものが何もない。
そんな折、同僚のチーフディレクターとランチに行った時のことです。
- D:「最近なんか悩みある?」
- M:「自分の技術、どこに特化させるか未だに答えが出ません…」
- D:「興味のある分野とかないの?」
- M:「この先20年役立つ、自分がやりたいの両方で、インフラですね」
- D:「なんか気になる書籍とかないの?」
- M:「あり過ぎて積みまくってます」
- D:「じゃあそれをお互いに毎日読んでLTし合おう。ちょうど俺も読みたいのあるし」
こうして、僕の毎日のインプット生活がスタートしたのでした。
やりかた
時間、互いの労力、計画性、全てに一定以上のものが求められました。では具体的にどうやったのか解説します。 個人的には ここまで1対1で他人が時間を割いてくれるものなのか と驚愕と歓喜が同居した複雑な気分と、モチベーションが常に補充される不思議な体験でもありました。
前準備
- 課題図書を決める
- それぞれが1日30分(目安)読む
- Markdownで得たこと、調べたことを記録する
LT
- 互いに10分間、記録したことを相手にプレゼンする
- 理解が及ばないところは互いに質疑応答する
- 10分経過で強制終了
- 続きは次回
ゼロ秒思考の実施
- 大きめ(できればA4)の紙を用意
- 書きやすいサインペンを用意
- 最初の1分でお題を決める
- 残りの時間、ゼロ秒で思考したことをとにかく書き出す
- 終わったらトピックを互いに話す(3分程度)
実施日
- 月曜日〜木曜日の18:30-19:00
- 金曜日はMTGが多いのでお休み
- 読書などのインプットは毎日続ける
- 書籍以外でも、技術メモ、他人のブログについてなどテーマは無差別
毎月の振り返り
- KPTを実施
- 翌月にすべきことを取捨選択
- より効果的な時間を作り上げていく
- 業務の改善ポイントも振り返る(ゼロ秒思考の振り返り)
結果
当エントリー執筆段階(12月8日)で、9ヶ月目に入っています。それまでどんな理由があっても1日も欠かしていません。 今はその会社を退職していますので、お互いのLTは実施していませんが、以下の結果が得られました。
- 継続的なインプット・アウトプットが習慣化
- DNSの話は builderscon tokyo 2018 のトーク Webアプリケーションエンジニアが知るべきDNSの基本 につながりました
- 非エンジニアに説明して理解を得られる状態に落とし込む
- エンジニア以外でも理解できるよう言葉の解説や正確性を重視した
- 学習時間の確保のための生活時間の見直し
- 寝る前のどの時間にやるのか決めた結果、1日のサイクルが変わった
- 1つの技術の深掘りによる理解
- 解説することによるさらなる自分へのインプット
- わかる!楽しい!
- 学習が楽しくなり、現在でも仕事が楽しい瞬間が増えた
- 解説したい!話したい!
- 特に自分のような悩みを抱えているかもしれない人の背中を押したい
出会いは必ず来る
こういう人には一生出会えないと思っていましたし、想像もしていませんでした。 全て自分で理解して進む必要があるんだ…そう思い込んでいたんですよね。 自分がいい歳だっていうのも拍車をかけたと思います。
しかし、そんな思いを杞憂にして吹き飛ばしてくれた同僚がいました。 そして背中を押してもらいました。
彼とは今でもたまに話し、これからも悩めば相談するでしょう。
- M:「俺、この恩をどうやって返せばいいかわからんっす」
- D:「それはお互い様でしょう。おかげで自分もDNSを理解したしw」
- M:「俺も組織論やリーダーシップについて目から鱗なところたくさんあったな」
- D:「重要なのは継続すること。それが達成できたならそれでいいんですよ」
こんなこと話したな。なんやねん最高かよ。って思ったし、この恩は自分のエンジニアの師匠の言葉 受けた恩は後続に送っていけ。それが未来だ という 恩送りの精神 で誰かに送り続けていこうと思います。
こうして、僕はインプット・アウトプットの輪廻の中に身を置き、今でも悩みながらぐるぐるぐるぐる回っていたりします。
押されたからには…押していく!
そう、自分も押さなくては、という気持ちになるわけです。 同じように困っている人が絶対にいるはずだ。
MySQLやDNSで登壇した際、自分が困ったこと、わからなかったこと、技術書やブログ、RFCで理解できなかったことを調べ、その行間に含まれている暗黙知を見える化してきました。
最初は 高度な話でもないのに必要とされるかな? という不安がありました。 しかしインプット・アウトプットを続け、登壇し、様々な人から感想をいただいて、不安が確信に変わりました。
人はわからないと不安になります。不安が続けば嫌になります。嫌になれば諦めて辞めちゃいます。
その不安を取り除こう。自分にできることでやっていこう。それをエンジニア人生の目標にしよう。
そう、思い定めたのでした。
もう少し続くんじゃよ
今現在、エンジニアとしても幸せだなって思える瞬間がすごく増えてきました。 MySQL、DNS、だけでなく、OOPやドメイン設計もわかるようになってきて、実際のコードを書くのがより楽しくなってます。 (OOPは「ぺちオブ」という勉強会があり、僕より遥かに濃密で深く強い意志で活動されている素晴らしい方々がいらっしゃいます。)
もちろんインフラを操作する時も前よりずっと安心感がありますし、少なくとも、しんどいな、手に汗握るな、というネガティブな瞬間が明らかに減りました。
稀有な人に背中を押されたな。彼には 今後も友達でよろしくね と言ってもらえて、こんなナイスガイがおるんやな、って思ってますが、じゃあ俺もナイスガイになってやろう。
そして誰かの背中を押していこう。 そう思っていた矢先、主催のariakiさんに誘っていただき、エンジニアの登壇を応援する会に入ることになったのでした。
というわけで、 誰かの背中を押していく という話に続け、執筆します。
やっていくぞ!